建物の多くは柱・梁・壁という構造で建っていますが、柱と梁だけで建物が構造的に成立し、構造的に関係ない外壁又は壁をカーテンウォールと呼ぶようです。
和歌山県の大和街道沿い、JR和歌山線の高野口駅前に木造三階建ての「葛城館」というかつて旅館だった建物があります。
この建物を見て違和感を感じる所と言えば、昔では珍しい木造の総三階建て、屋根の特徴的な破風、そして外壁がガラス戸であるところ。
日本は台風がよく襲来し、地震も多い国。一般的に重たい建物は台風などの風に強く、地震などの強い揺れに対しては弱いのです。
この「葛城館」の屋根は重たい瓦屋根ですが、外壁がガラス戸で覆われていてとても軽そうな印象。重い要素と軽い要素を併せ持つこの建物は台風や地震で倒壊してしまわないかとても不安になります。
最近の木造住宅の主流は柱・梁に加え筋交いを壁中に入れて耐力壁とする在来工法と、当社で採用している床、壁、天井などの面で支る2×4工法です。どちらも耐力壁という壁で支えるという「耐震」の考え方です。
築約100年の葛城館が今日まで建っているかというと、どうやら上に挙げた二つの工法ではなく、揺れを柱と梁で吸収する「免震」という考え方の伝統工法が関係するものと思われます。
建築基準法は基本的に「耐震」という考え方なので、このような家はなかなか建てれませんが、全面ガラス張りの木造住宅はとてもカッコ良いなと思います。